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流域はっしん!第4回「ただの山じゃない?〝平尾台〟のヒミツ」

流域はっしん!第4回「ただの山じゃない?〝平尾台〟のヒミツ」


紫川の情報発信イベント「流域はっしん!」第4回が7月26日に開催いたしました。
今回は小倉南区、紫川大きな支流、東谷川の水を集める流域南東部〝平尾台〟について紹介いたしました。

平尾台は流域の南東部。画像:YAMAP 流域地図

黄色い太線が分水嶺、そして薄黄色で塗られた部分が紫川の流域です。


※流域の全体像が出たので少しお知らせなのですが、先月6月末日に水環境館が来館400万人を迎えました。
7月19日に記念イベントを行って、そこで水環境館のキャラクターのお披露目をいたしました。

みずかん流域キャラクター「かわぽん」

みずかんの流域キャラクター「かわぽん」です。
ヨダレを垂らした猫 と言われることがあるのですが、ヨダレでも、猫でもないのです。

顔の形は、左耳が福智山、右耳が貫山、そしておでこが平尾台、両目は〝鱒淵ダム〟と〝お糸池〟。
口の辺りが紫川と東谷川が合流し、海へと流れていく様子。という非常に考えられたデザインになっております。

そして、紫川流域の全体形があの動物に似ているのです。
…タヌキにそっくりではありませんか?
そう、なのでかわぽんは猫ではなく、タヌキなんですね。
今後〝かわぽん〟グッズなども出していければなと思っておりますので、お楽しみに。


平尾台はサンゴ礁の生まれ変わり⁉

平尾台は浸食によって石灰岩が水の浸食により形作られた地形〝カルスト台地〟です。

地面を覆う岩石のうち一部が浸食せずに残ると、その部分だけが地面から飛び出したようになり、岩柱になります。
このような岩石はピナクルとよばれ、マグマの熱を受けた平尾台の石灰岩は結晶質となっており、浸食をうけるとボロボロと
崩れやすくなっているので、丸みを帯びた形になります。こういった丸みを帯びた石灰岩が山肌に広がる風景は、
草原に羊が群れる様子に似ているため「羊群原(ようぐんばる)」と呼ばれます。

平尾台は、約3億6千年前~2億5千年前に赤道付近で発達したサンゴ礁がもとになっています。
長い時をかけて地球表面のプレート運動により発達しながら今の場所まで運ばれてきました。
海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む際に、サンゴ礁の塊は削り取られ、
大陸プレートに残りました。

約9000万年前にマグマの熱によって一度融解し、冷えたものが隆起して平尾台になった。
日本3大カルストに含まれる山口県〝秋吉台〟では化石などが発掘されますが、
平尾台の石灰岩は一度溶けてしまったため、化石が発掘される例はとても少ないです。

石灰岩は二酸化炭素を含んだ水に溶かされ、様々な浸食地形を作っていきます。
平尾台の台地上に多く存在する、すり鉢状の穴はドリーネと呼ばれ、年月を経るごとに深く拡大していきます。
水はけのいいことから畑に利用されることもあります。
ドリーネ➡ウバーレ➡ポリエと浸食の度合いにより呼び方が変わっていきます。

ドリーネ/すり鉢状の穴  ウバーレ/複数のドリーネが連なったもの
ポリエ/ウバーレが広がっていき大きな窪地になったもの
ドリーネの底にはポノールと呼ばれる水の通り道が出来、そこから水の流入によって、地下に鍾乳洞が形成される。

平尾台の麓は湧水地だらけ?

今回お話のメインにしたのは、カルスト地形の平尾台が生んだ湧水地についてです。
平尾台の麓に見られる主な湧水の場所は「立花の湧泉」「小清水」「大清水神社」「お糸池」があげられます。

「お糸池」
人柱伝説の残る人工の灌漑用水地。
平尾台最南端の〝竜ケ鼻〟から湧出する水を湛えており、非常に景観が良い。

「大清水神社(おしょうずじんじゃ)」
湧水の囲いの中には石塔には伝説がある。
「昔、東谷川には河童が住んでおり、この河童は東谷川の水辺で水浴びをする子どもを
水中に引き込み死なせてしまうことがあった。これに水神様が怒り、石を担いで、
この河童を征伐した。河童がいなくなったことで、東谷川でおぼれるものはいなくなり、
村人は水神様をあがめて、水神様が担いだ石自体を水神様として祀るようになった」

「小清水(こしょうず)」
大清水神社から北へ歩くと、道のわきに小清水が現れます。石台には石碑らしきものが乗っている。
この石台から水が湧いているわけではなく、奥の方にある導管から流れてきている。水も透き通っていて、冷たい。

「立花の湧泉」
井手浦地区の奥に立花川の起点となる湧水地がある。
大きな石灰岩のガレ場の中に穴が開いておりそこから湧出している。
一か所だけではなく周辺の数箇所から水が出ており、その水量はかなり多く、
立花川の主水流になっている。ほかの湧水地とは違い洞口が大きく空いており、大きな音を立てて水が流れている。
※紹介した他の湧水地も同様ですが、基本的には一般的な湧き水のように土壌にろ過されて湧出しているものとは違い、
鍾乳洞という〝空間〟を通ってきたものなので、雨水がそのまま流れてきていることや洞窟内のコウモリのふんなど
様々な物質が混入している可能性があるため、飲用にはあまり適さないかもしれません。
 

最後に、地元の方から「塔ケ峰(とうがみね)の麓にも水が湧出している」とお話を聞いたため、
そちらにも実際に足を運んでみました。

「塔ケ峰の湧水」
〝塔ケ峰(とうがみね)は平尾台の西側に突き出した西南北に急峻な面を持つ平尾台の一部の山です。
井手浦方面から見ると非常に細くとがった山のように見えます。
実際には奥側が平尾台につながっているので、三角柱を寝かせたような形になっています。
湧水場所は山中の沢にあり、複数の場所から水が出ています。水が出ている下部が小さな滝になっており、
滝つぼに溜まった水が美しいです。この湧水地にまつわるお話などは分からなかったのですが、
平尾台の鍾乳洞の中でも「以前は水が通っていたが、現在は通らなくなった場所もある」というお話を聞き、
平尾台は刻々と変化していて、山中にこういった湧水地や、洞口が開いていることもあるかもしれないと感じました。
   

次回、流域はっしん!第5回は、8月23日(土)に開催いたします。
今回ご紹介した〝お糸池〟をはじめ、さらに下流、〝蒲生〟の地に伝わる人柱伝説にもふれてお話いたします。
ぜひ聞きに来てください(^▽^)

■Youtubeにて今回の平尾台西方の湧水地をめぐった動画をアップしました。
ぜひご覧ください。
【流域はっしん!】平尾台 西麓の湧水地巡り

こんかいのお話の参考/引用
・「三谷むかし語り(合本第2巻)」/むかし話をする会
・「平尾台の石灰同」/日本洞窟協会
・「企救群誌」/伊東尾四郎
・産業技術研究所 地質調査センターHP
・YAMAP 流域地図
・国土地理院地図

 

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